どうもマツローです。
先日、丸佳浩選手のFA移籍による人的補償で長野久義選手の広島への移籍が発表され、大きな話題となっています。
チームの精神的支柱であった長野選手移籍の裏には、過去にFA移籍の人的補償で巨人を去った若手有望選手の活躍という、苦い経験がありました。
その反省を踏まえ若手選手のプロテクトを優先したことや、「高年俸のベテラン選手は指名しないだろう」という読みの甘さが、長野選手移籍を招いたと言われています。
一方2年連続MVPに輝いた丸選手の退団も、今や常勝軍団となった広島にとっては大きな痛手。
また愛着あるチームを離れ、他球団とは違う重圧のある巨人への移籍を決めた丸選手にも、相当の覚悟が必要だったのではないでしょうか。その孤独な決断は、かつて北海道で愛されながら巨人へ移籍した小笠原道大選手と重なります。
そんな丸選手と長野選手は奇しくも同じ外野手。打順も1番や3番を打つことが多いという共通点があります。
両者の移籍はチームの戦力にどのような影響を与えるのでしょうか。
丸選手と長野選手の簡単なプロフィールを紹介し、昨年やこれまでの成績からチームに与える影響を予想します。
スポンサーリンク
丸佳浩選手のプロフィール
1989年生まれ、今年30歳を迎える丸選手は千葉県出身。千葉経大付属高へ進学し、2007年ドラフト3位で広島から指名を受けました。
入団3年目となる2011年より徐々にレギュラーに定着し、2013年に盗塁王・2017年に最多安打・2018年に最高出塁率のタイトルを獲得。他にも7年連続となる二桁盗塁や2年連続のリーグMVP、2013年より6年連続ゴールデングラブ賞を獲得しています。
打率.310 67打点 19本塁打 26盗塁
2015年
打率.249 63打点 19本塁打 15盗塁
2016年
打率.291 90打点 20本塁打 23盗塁
2017年
打率.308 92打点 23本塁打 13盗塁
2018年
打率.306 97打点 39本塁打 10盗塁
丸選手にはミート力とパワーを兼ね揃えたバランスの良い打撃・俊足と肩の強さを活かした好守といった特徴があります。
また過去3度もリーグトップとなる数の四球を選んでおり、2018年は歴代4位となるシーズン130四球を記録。今最もアウトを取りにくい打者といえるでしょう。
長野久義選手のプロフィール
1984年生まれ、今年35歳を迎える長野選手は佐賀県出身。日大4年時のドラフトで日ハムから4位指名を受けますが、巨人への入団を熱望していたことからこれを拒否。社会人野球チームのHondaへ入社後、2008年のドラフトでロッテに2位指名を受けますが再び拒否。そして2009年3度目となったドラフト会議で巨人から1位指名を受け入団が決まります。
1年目より新人王を獲得するほどの活躍を見せ、2年目となる2011年に首位打者、2012年には最多安打と入団以来3年連続タイトルを獲得。他にも強肩を活かした右翼からの送球が光り、2011年より3年連続ゴールデングラブ賞を受賞しています。
打率.297 62打点 13本塁打 8盗塁
2015年
打率.251 52打点 15本塁打 3盗塁
2016年
打率.283 42打点 11本塁打 8盗塁
2017年
打率.261 46打点 16本塁打 6盗塁
2018年
打率.290 52打点 13本塁打 3盗塁
2018年は故障もあり初めて規定打席に届かなかったものの、入団から9年連続となる二桁本塁打を達成。また2014年に右ひざを故障する前は、毎年二桁盗塁を記録していた俊足も持ち味です。
左右の違いはあれど、長野選手もどちらかというと丸選手と同じバランスの取れた打者タイプで、特に逆方向にライナー性の打球を飛ばせる長打力は魅力です。
2019年巨人戦力予想
丸選手の移籍による2019年の巨人打線は、坂本勇人選手と丸選手が軸となり、4番には昨季大ブレイクした岡本和真選手、5番以降は捕手として復帰する阿部慎之助選手が座ることが予想されます。さらに新加入となるビヤヌエバ選手・中島選手、ゲレーロ選手や打順に柔軟に対応できる陽岱鋼選手・亀井善行選手も控えるという、破壊力抜群の打線が期待できます。
粗さの目立つビヤヌエバ選手の順応力や、昨季も成績不振に終わった中島選手・ゲレーロ選手・陽選手の復活は不確定要素でもありますが、丸選手が加入することにより近年手薄に感じられた左打者も強化され、打線の厚みが増すことは確実です。
また、守備面では丸選手を中堅手に固定できることにより、センターラインが安定し守備力強化となります。
2019年広島戦力予想
長野選手の移籍による2019年の広島打線は、丸選手が抜けた3番にそのまま長野選手が入ることが予想されます。
田中広輔選手・菊池涼介選手に長野選手・鈴木誠也選手が続き、5番以降は松山竜平選手・曾澤翼選手・バティスタ選手といった好打者が並ぶ打線は、丸選手が抜けても充分驚異。他にも野間峻祥選手や安部友裕選手といった長打や機動力のある選手が揃っており、走者にも気を抜けない打線は健在です。
また昨季の長野選手は、先発出場した際は4割を超える得点圏打率を記録していますので、勝負強さを活かし代打としての起用も有効。新井貴浩選手・エルドレッド選手の退団による右打者の補強も叶えました。
守備面では左翼での起用が有力となっていますが、若手外野手との兼ね合いで中堅起用も示唆されています。
以上のことから、巨人は丸選手を中心とした打線に破壊力が加わり、昨季より一気に破壊力のある打線になる可能性があります。
一方広島は、チャンスに強い長野選手の巧打を活かしつつ持ち前の強力打線を以てすれば、丸選手の抜けた穴を埋めるだけの力は充分にあります。
またチームを支えたベテラン選手・新井選手の不在も、長野選手の存在は埋めてくれるかもしれません。そこにはこんなエピソードがありました。
勝利の名のもとに
広島は長野選手へ敬意の現れとして一桁の空き番号である5と9を打診しますが、長野選手より、「背番号9は“丸選手の後継者”と期待される野間選手が相応しい」との申し出があり辞退したといいます。
この長野選手の配慮に両チームのファンからは絶賛の嵐。そして2度のドラフト拒否を経てまで入団を叶えた“ジャイアンツ愛”はおくびにも出さず「3連覇している強い広島カープに選んでいただけたことは選手冥利に尽きます。少しでもチームの勝利に貢献できるよう精いっぱい頑張ります」と会見で答えました。
この誠意あるメッセージの裏に、長野選手はどれだけの言葉を飲み込んだのでしょうか。
プロ野球球団である以上、球団は健全な経営の元、勝利のために戦力を整え、最大限の努力をします。しかしその勝利を叶えるための代償は、時に大きな逆風を呼び起こします。
2019年、巨人はマツダスタジアムでの広島戦から開幕します。
勝利の名のもとに集う熱い戦いを、今から楽しみに待ちたいと思います。
コメントを残す