埼玉西武ライオンズパ・リーグ連覇!2019年荒ぶる獅子の進化とは?

どうもマツローです。

2019年パ・リーグのペナントレースは、埼玉西武ライオンズが最大8.5ゲーム差をひっくり返し、1998年以来となる連覇を果たしました。

しかし昨季シーズンオフは、エースの菊池雄星選手・正捕手の炭谷銀仁朗選手・打点王の浅村栄斗選手と、チームの主軸が揃って移籍したことから、今季の西武への評価は決して高くありませんでした。

今回は、投打の主力を欠きながらも連覇を達成した西武の強さを分析。2019年に西武を襲ったマイナス要因やプラス要因をあげ、昨季との比較・他球団との比較を交えながら、今季の西武の強さを解説します。

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2019年埼玉西武ライオンズ・マイナス要因【投手編】

まず挙げられるのが、先述した菊池雄星選手の移籍です。昨季はチーム防御率がリーグワーストだったことからも、昨季14勝をあげた菊池選手の移籍はチームの成績に大きな影響を与えると考えられていました。また、炭谷銀仁朗選手の移籍により、投手のリードに難があると言われていた森友哉選手が正捕手になることも、バッテリーの不安要素でした。

加えて、昨季の最多勝投手で完投率も高い多和田真三郎選手や、昨季11勝をあげた榎田大樹選手の不調も影響しました。榎田選手は開幕に出遅れ、防御率6.52で4勝。多和田選手は5月に登録抹消され、秋には頻脈性不整脈が発覚し、今季は僅か1勝。そして即戦力を期待されたルーキー・松本航選手の出遅れも、暗い影を落としました。

他にもカスティーヨ選手が右ひじクリーニング手術の影響を受け、シーズン半ばに退団。若手投手が多い中、期待されたベテラン・内海哲也選手も一軍登板ゼロに終わります。

中継ぎ投手では、昨季自己最多の58試合に登板した野田昇吾選手・マーティン選手が安定せず、昨季終盤は抑えも務めたヒース選手が機能しなかったことも、今季西武投手陣が苦しんだ要因です。

2019年埼玉西武ライオンズ・若獅子の成長と新外国人投手の活躍!

絶望的な投手陣の救世主となったのが、来日1年目のニール選手です。開幕当初は持ち前のコントロールを活かせず、日本での活躍は難しいのでは、と考えられていました。しかし二軍降格後、許銘傑二軍投手コーチに日本の野球への対応を叩きこまれ、一軍復帰後は破竹の11連勝。打たせて取る投球で12勝をあげます。

そして開幕に出遅れた松本航選手は、5月下旬に一軍初登板を果たします。当初はセットポジションでの制球に不安があり、球数が多いことから6回を待たずに降板することが多かったのですが、終盤は安定した活躍を見せ7勝。他にも4年目の本田圭佑選手の台頭や、高橋光成選手が初の二桁勝利。中継ぎでは平良海馬選手が、球団史上最速タイとなる158km/hを武器に急成長をみせるなど、若獅子が不調な西武投手陣を支えました。

しかし何といっても、今季の西武を連覇へ強く押し上げたのは、リリーフエース・平井克典選手の活躍と、抑えを務めた増田達至選手の復活です。

平井選手は昨季、64試合に登板し21ホールドをあげ優勝に貢献しますが、今季はそれを上回る81試合に登板。36ホールド・41HPと、獅子奮迅の活躍を見せました。増田選手は65試合に登板し、自己最多となる30セーブを記録。防御率1.81、WHIPは0.88という成績を残し、抜群の安定感でチームを力強く支えたのです。

2019年埼玉西武ライオンズ 投手チーム成績

2019年西武のチーム防御率・先発防御率・中継ぎ防御率、それぞれ昨年との比較です。

チーム防御率 先発防御率 救援防御率
2019年 4.36 4.64 3.88
2018年 4.24 4.17 4.38

昨年に引き続きチーム防御率はリーグ最下位ながらも、救援防御率は5位にあがりました。今季はやはり先発投手が苦しく、先発防御率は最下位でした。

しかし9月のみの成績では、チーム防御率3.10のリーグ2位、先発防御率は2.81とリーグ1位、救援防御率は3.76でリーグ3位です。そしてクオリティスタート13回はリーグ2位、ハイクオリティスタートは6回で、堂々のリーグ1位です。

2019年も打撃に助けられることの多い西武投手陣でしたが、打線が苦しんだシーズン終盤に粘りの逆転優勝を見せたのは、9月投手陣の驚異的な粘りがあったからなのです。

2019年埼玉西武ライオンズ・マイナス要因【野手編】

野手へ目を向けると、昨季はリーグ最多の127打点をあげ、打点王にも輝いた浅村栄斗選手の穴を埋めることが急務でした。

外崎修汰選手を二塁手へコンバートしたため、DH・右翼手・左翼手に得点力のある選手を起用することを目標に、若手選手を積極的に起用します。しかし佐藤龍世選手・愛斗選手・鈴木将平選手など、試合出場しながらも一軍定着する若手選手は現れず、DHは栗山巧選手、左翼手を金子侑司選手、右翼手を木村文紀選手が守りました。

そして開幕当初は秋山翔吾選手・金子選手・外崎選手が不調。この影響でシーズン序盤は打線がつながらず、山川穂高選手も6月以降スランプに陥ります。

さらに追い打ちをかけるように、8月に入ると中村剛也選手・岡田雅利選手・金子選手・源田壮亮選手が相次いで故障・一時離脱に見舞われます。この頃は野球解説者からも、優勝はおろかAクラスも厳しいのでは、という意見もありました。

2019年埼玉西武ライオンズ 常識を覆す打線の進化

厳しい状況の中、躍進を遂げたのが森友哉選手です。持ち前のパワーのある長打力に加え、正捕手としても成長を見せました。そして中村選手が4番を取り戻してから流れが変わります。下記の表に、主力選手の昨季と今季の打点をまとめました。

2018年  2019年
森友哉  80   105
山川穂高 124  120
外崎修汰 67   90
中村剛也 74   123
源田壮亮 57   41
木村文紀 12   38
秋山翔吾 82   62
金子侑司 34   33
メヒア  21   31

すべてを差し引きすると、主力選手だけでも92打点がプラスになっています。さらにDHに定着した栗山選手が昨季より2打点の上積みがあることや、昨季は活躍できなかった若手選手の打点も考慮すると、浅村選手の穴を埋めるには充分な打点力です。

結果、昨季のチーム得点792点には届きませんでしたが、今季も両リーグ1位の755点を記録。森選手は打率.329で首位打者を獲得、179安打を記録した秋山選手は最多安打、43本塁打の山川選手が本塁打王、123打点をあげた中村選手は打点王、金子侑司は41盗塁を決め盗塁王を、それぞれ獲得しました。

同一球団の5選手で打撃の主要5部門のタイトルを独占するのはプロ野球史上初の快挙で、さらに打点の上位3選手を西武が独占しました(1位中村選手・2位山川選手・3位外崎選手)。

20本以上の本塁打を記録した選手が5選手もいることは、西武打線最大の強みです。最低防御率もリーグワーストの失策数も、リーグ1位の打点と盗塁数が乗り越えるという豪傑さを携えて、リーグ連覇へ驀進していったのです。



辻監督の涙を忘れない…昨季の忘れ物を取りに行く!

昨季はリーグ最多失点・最低防御率・最多失策で優勝しましたが、今季も同3部門はリーグ最下位。二年連続で防御率最下位のチームが連覇するのは史上初です。

しかし今季終盤の投手全体の粘りは、昨季は見られなかった快挙です。また、昨季は一度も首位を譲ることなく優勝しましたが、今季は最後にソフトバンクを追い詰めての逆転優勝。この勢いは、短期決戦にも活きてくるのではないでしょうか?

昨季CSで敗れたこと、辻監督の涙、声を絞り出すような最後の挨拶を、選手もファンも忘れてはいません。今季こそCSを勝ち抜き、日本シリーズで辻監督の胴上げを期待しましょう。

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