【東京2020】東京オリンピック・WBC注目選手 柳田悠岐選手

2015年にNPB初となるトリプルスリーと首位打者を同時に達成し、日本代表でも主軸を担ってきた柳田悠岐選手。

メジャーの選手と比べても引けを取らないパワー・ミート力を兼ね揃え、一時期はポスティングシステムを利用したMLB挑戦も噂されていました。しかし近年は怪我が多く、2019年の試合出場は僅か38試合。オフに2015年以来2度目となる右肘クリーニング手術を受けました。

東京オリンピックを控えた2020年、誰よりも頼れる侍の再始動が待たれるところですが、現在はどこまで回復しているのでしょうか?

今回は東京オリンピック・2021年WBCへ向け、復活を遂げる柳田選手のプロフィールや経歴・選手としての特徴をご紹介します。

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柳田悠岐選手のプロフィール・経歴

選手名  :柳田悠岐(やなぎた ゆうき)

出身地  :広島県

生年月日 :1988年10月9日

身長体重 :188cm・92kg

ポジション:外野手

投球・打席:右投左打

経歴   :広島商高→広島経済大→福岡ソフトバンクホークス

メジャーリーガーを彷彿とさせる豪快なフルスイングが武器の柳田悠岐選手ですが、野球を始めた小学3年生より高校時代までは、どちらかと言えばアベレージヒッタータイプでした。

身体も細く、広島商では高校通算11本塁打。甲子園とも縁遠く無名の選手だった柳田選手は、野球強豪大学のセレクションでも中々進路が決まらず、野球を辞めてしまおうかと思うほどだったそうです。

広島経済大へ進学後も1年時からレギュラーだったとはいえ、通算8本塁打・打率.428・60打点。記録だけを見れば、ミスターフルスイング・柳田選手の姿は思い浮かばないでしょう。

しかし、通算8本塁打はすべて大学3・4年時に記録したもの。1年時より首位打者やベストナインを幾度となく獲得していた柳田選手は、元阪神・金本知憲選手や日ハム・中田翔選手らが通うジムで自身を鍛えます。

身体も大きくなり、大学3年あたりからスラッガーとしての才能を目覚めさせ、ついた異名は「安芸のボンズ」。大学入学時は「大学を経て社会人野球からでもプロへ行けたら」と思っていた柳田選手ですが、スカウトが足繁く通う選手へと成長していきました。

そして迎えた2010年ドラフト会議。ソフトバンクスカウト陣の方針では、2巡目に八戸大・秋山翔吾選手を指名する予定でした。しかし、王貞治会長の「誰が一番、打球を飛ばすんだ?」という問いかけに、スカウト陣が「柳田です」と即答したことから運命は動き出します。このスカウト陣の一言で、急遽柳田選手を2位指名することになったのです。

柳田悠岐選手のレギュラーシーズン・国際試合成績

2011年は春季キャンプから主力選手と同じA組に入り、ウエスタンリーグ本塁打王を獲得。飛ばす力と俊足を活かしてリーグ1位の3塁打や、外野手としてリーグ2位の捕殺を記録するなど強肩ぶりを発揮していました。しかし、リーグ2位の三振やリーグ1位の失策といった粗さも目立ち、一軍ではわずか6試合の出場でした。

その後も一軍では指名打者や代打から途中出場が多かった柳田選手ですが、徐々に才覚を表し、2014年にはすべての試合に出場。打率・出塁率・盗塁はチームトップを記録し、リーグ優勝に貢献します。

日本シリーズではすべての試合に出場し、チームが日本一に輝くと共に優秀選手賞を受賞。ベストナイン・ゴールデングラブ賞も初受賞しました。

そして2015年には、かねてからの目標であった打率3割・30本塁打・30盗塁の「トリプルスリー」を達成。初のタイトルとなる首位打者や最高出塁率を獲得し、出塁率・長打率・OPSについては以後2018年まで、4年連続リーグ最高記録を叩き出します。

出塁率と長打率のリーグ最高記録を4年連続達成した選手は、王会長に続き2人目の快挙。“超人”という言葉では表現しきれない活躍で、ついに「球界最強打者」と呼ばれるようになったのです。

2011年
6試合 打率.000  0本塁打  0盗塁 OPS.000
チーム順位1位

2012年
68試合 打率.246  5本塁打  6盗塁 OPS.685
チーム順位3位

2013年
104試合 打率.295 11本塁打 10盗塁 OPS.860
チーム順位4位

2014年
144試合 打率.317 15本塁打 33盗塁 OPS.865
チーム順位1位
◆リーグ最多得点

2015年
138試合 打率.363 34本塁打 32盗塁 OPS 1.101
チーム順位1位
◆リーグ最多得点・最多四球・首位打者・最高出塁率・最高超打率・最高OPS・トリプルスリー

2016年
120試合 打率.306 18本塁打 23盗塁 OPS.969
チーム順位2位
◆リーグ最多四球・最高出塁率・最高超打率・最高OPS・連続試合四球(NPB記録)

2017年
130試合 打率.310 31本塁打 14盗塁 OPS1.016
チーム順位1位
◆リーグ最多四球・最高出塁率・最高超打率・最高OPS

2018年
130試合 打率.352 30本塁打  21盗塁 OPS1.092
チーム順位2位
◆首位打者・最高出塁率・最高超打率・最高OPS・サイクルヒット

2019年
38試合 打率.289  7本塁打  4盗塁 OPS.936
チーム順位2位

野球日本代表では、2014年11月に開催された日米野球で初選出されます。打率3割を記録し、MVPを獲得。走攻守すべてに渡る活躍は、アメリカ代表の選手に「アメリカへ連れて帰りたい」と言わしめたほど。

その後、シーズン中の怪我で代表に選出されるも辞退が続き、世界に名をとどろかすほどの活躍を見せながら、オリンピック・WBCには未だ出場を果たせていません。

しかし2018年の日米野球では、豪快なフルスイングでMLBオールスターズを再び一蹴。MLB投手コーチにまでサインボールをねだられる珍事件がありました。

2014年
SUZUKI 日米野球シリーズ(親善試合)4勝2敗
11月12日~11月20日 6試合 25打数 7安打 0本塁打 6打点

2015年
ひかりTV 4K GLOBAL BASEBALL MATCH 2015 侍ジャパンvs欧州代表(強化試合)1勝1敗
3月10日~3月11日 2試合 6打数 0安打 0本塁打 0打点

2018年
ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018 日本vsオーストラリア(強化試合)2勝0敗
3月3日~3月4日 2試合 7打数 1安打 0本塁打 1打点

2018 日米野球(親善試合)5勝1敗
11月9日~11月15日 6試合 24打数 7安打 2本塁打 7打点

柳田悠岐選手の打撃フォーム・特徴

2020年東京オリンピック・2021年WBCでの復活が期待される柳田悠岐選手は、明るく天真爛漫。インタビューでの自由な発言から、何も考えていない天才肌のように思われがちですが、打撃に関しては非常に研究熱心です。

試合後は必ずスコアラー室へ向かい、打撃フォームのチェックだけでなく、打席で見た投球の軌道と実際の映像の軌道を比較し誤差を修正。柳田選手のもつ18試合連続四球のNPB記録は、こうした研究からも繋がっているのかもしれません。

そんな柳田選手の打撃の特徴は「スイングスピードの速さ」「豪快なフルスイング」です。

まずトップを深く構えてリラックス。前に出ている右足を内側に捻りながら上げ、軸足に全体重を乗せます。前足を踏み出し腰だけを回転させ、捻りが最大になったところででんでん太鼓のようにインパクトへ振りだしていくのですが、この時しっかり脇を閉め、バットを内側から出すことで最大のヘッドスピードを出すことができます。

そしてインパクトの瞬間に前足を突っ張る事で地面から反動が生まれ、さらにヘッドスピードは加速します。最後はバットをかち上げ気味にしっかりと振り切ります。このコマのように鋭い回転とV字スイングで、全身から生み出すパワーを余すところなく伝え、球界でも群を抜く飛距離を実現できるのです。

また鋭いスイングは鋭い打球を生みます。早い打球は例えゴロでも内野を抜ける確率が高く、持ち前の俊足でヒットにすることができます。

そして俊足は走塁や盗塁だけでなく、守備範囲の広さにも活かされます。本人曰く捕球はそれほど得意ではないとのことですが、強肩から繰り出される最速148km/hの返球は、充分走者の脅威となり得るのです。

返ってきたミスターフルスイング!頼れる侍・柳田悠岐選手

柳田悠岐選手は現在は二軍で調整中ですが、これは新型コロナウイルスにより開幕が延期されたことによる調整です。豪快なフルスイングは健在で、新たな開幕日に合わせられるようにと、順調な仕上がりを見せています。

そんな柳田選手は、3大会ぶりに野球が復活する東京オリンピックについて「ラストチャンス。結果を残して選ばれるように」と語り、「金メダルを獲って野球をやる子供が増えてくれれば」と意気込んでいます。東京オリンピックで指揮を任される稲葉監督も「あれだけのフルスイングもあるし足もある。1番打者としても脅威」と語ります。

また近年“2番最強論”が広まっており、豪快さと柔軟さを兼ね揃えたポテンシャルを思えば無限の可能性があります。

柳田選手にはただ打った打たないだけではないスケールの大きさ、型にはまらない魅力があります。そんな日本人らしからぬ規格外のプレーが、五輪の舞台で輝く事を楽しみにしております。

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